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ちょっと長めの独り言

安藤寿康「日本人の9割が知らない遺伝の真実」感想(産休日記18日目)

読みました。ツイッターでフォロワーさんが読んでた。
以下印象に残ったところまとめ。

・性格の5要素。好奇心の強さ、勤勉さ、外向性、協調性、情緒不安定性。情緒不安定性が高い人はうつ病になりやすい、勤勉さと好奇心の強さが高い人は社会的な業績を上げやすい、勤勉性が高い人は寿命が長い、など。
GFPといういい人因子。上記でいうと好奇心が強く、勤勉で、外交的で協調的で情緒が安定している人。これが高い人は仕事の満足度が高く、離婚しない傾向。主観的な幸福感ともプラスの相関。人間はIQとGFPの二次元で分類できるという話は今も議論中。
GFPは遺伝率が高い。
・遺伝的素質は一生変わらない。体重やIQが変わるとすれば理由は環境の違いにしかない。なので私個人にとっては環境要因が100%。
・個人差の大部分は非共有環境によって成り立ち、共有環境はあまり影響されない。家庭の子育てが子どもにあまり影響しないということなのて、人によってはショックかも。
・遺伝的な不平等は実は不平等ではないと言えるかもしれない。適応的ではないと思われる遺伝子が、今も生き残っている理由。アフリカの鎌状赤血球(マラリアに強い)、統合失調症(非凡な天才を生む可能性)。
・自分にはコレができる、これが好き、これは向いてない。そうした内側から湧き上がってくる感覚は、遺伝をもとに、環境が出会ったときに生じるものだと考えている。そういった内なる感覚に導かれ、そこにリソースを集中投下し、才能が発現していくのではないか。
・男性は、初めの就職口は共有環境の影響70%。親や親族の助言のため? 45歳で遺伝の影響がピーク、共有環境の影響ほぼゼロ。女性はずーっと遺伝の影響ほぼゼロ。
・親がお金持ちなら、いろんな環境にアクセスでき、遺伝的な素養が発現しやすくなる。
・遺伝の影響は壮年になるほどおおきくなる。年齢を重ねて様々な環境にさらされるうち、遺伝的な素質が引き出され、本来の自分になっていく。
・子育ては無意味か?→NO。自分の経験、価値観に基づいて、子どもの形質を見つけるよう努力すべき。うちの子どもにはぱっとしたところがない、と思うのであればなおさら、いろんな経験をさせる、社会的、文化的に価値があると親がかんがえてい刺激を与える、などが大事。
・非認知能力!さっき読んだな。著者的にはやり抜く力も勤勉性もほぼ同じ形質で、遺伝と非共有環境で決まる、と考えている。環境の影響はあくまで一時的で、長期的な持続性は遺伝。
・子どもの頃から好きなこと、得意なことがはっきりしていれば大事にしてあげるべき。子どもが好きでもないことを「やり抜く力が〜」とか言って強制するのは危険。嫌いになる。
・一般的に「あの子と仲良くしてはダメ」というのは自分は差別されないという傲慢さ、自分が差別される側に回りうるという猜疑心を学ぶことになる。あえて子どもがそちらのグループを選んだ理由、話が合わない、認めてもらえるなどの文化、人間関係について慎重に考えるべき。
・環境要因の影響が大きいのは「いま、ここ」。長期的なそれではない。
・一卵性双生児はレベルの違う大学に行っても生涯賃金は同じ。賃金は遺伝要因。
・社会をキッザニア化して、自分の素質が有利に働く方向に舵を切っていけばいい。
・どの科目もだめ、得意なこともない。どうしたらいいか?→素質がないことにリソースをつぎ込む必要ない。リソースには限りがあるので、別のことにリソースをつぎ込むのが合理的。素質がないことに気づくのも素質の発見。
・自分ができること、しなければならないことの中で私が一番好きなこと、得意なこと、それが比較優位。
・弁護士のほうがタイプが早くても、私の中でタイプ打つのが早ければ弁護士は弁護士業務、私がタイプを打つ、が一番利益を上げられる。
・潜在優位。まだ取り組んでないけど、いつかやってみたい、これをやらずに死にたくない、そういうものが心に芽生えただけでも才能の兆候として優位性がある。
・遺伝だから仕方がない、と諦めるのは早い。遺伝的な素質が発現する可能性を高め、環境を探求し、適応し、生存する。旅をしながら私達は「本当の自分」になっていく。かわいい子には旅をさせよ、それは大人も同じ。私達は死ぬまで旅を続ける。


えー!すごく面白かったぞこの本!橘玲の本も読んだけど、直前に「学力の経済学」を読んでたのもよかった〜!読み比べるとめちゃくちゃ面白い。日経テレ東大学で安藤寿康を呼んで中室さんや成田さんと対談してほしい〜!