読みました。「『読まなくてもいい本』の読書案内」。ずっと読もうと思っていたんですけど、この前のお買い物マラソンでついに購入。面白かったです。
以下感想です。
この本、すごく好きで。なんでかというと、この本の中では5つぐらいのテーマが取り上げられるんですが、その全てのテーマに通底するのが「進化論」なんです。
そう! 進化論。好きです進化論。好きですドーキンス…。
以下まとめ。
〇複雑系
・ここでも出てくるフォン・ノイマン。コンピュータの父。フォン・ノイマンはそろそろFGOに出演していただくほうがいいと思うんですけどどうですかね。時代が新しすぎですかね。
・物理学における決定論と確率論
決定論とは因果論であり、Aが原因となってBが起きるという考え方。
ニュートン力学は決定論であり、質量と位置、加速度などの条件が決まれば惑星の軌道が計算できる。
いっぽう、19世紀になると、ニュートン力学では説明できない現象が見つかる。
水をいれたコップに花粉を落とし顕微鏡でのぞくと細かく動き回っている。
アインシュタインが特殊相対性理論の中で「小さな粒子」の衝突による花粉の移動範囲を確率的に予測することで水の分子の存在を証明できることを示した。
・ベルカーブと同様普遍性をもつべき分布をマンデルブロが発見。
・海岸線のぎざぎざは拡大すると同じぎざぎざが現れる。カリフラワーも子房が全体の形をそのまま縮小したがたちとなっている。「自己相似」。
・自分を次々と複製する「自己相似」によって「自己組織化」し、「ラフネス(複雑さ)」を生み出すことで、そこにはかならず「べき分布」がある。マンデルブロはこれを「フラクタル」と名付けた。
・市場や社会はランダムネス(ベルカーブ)ではなく、フラクタルが生み出すラフネス(複雑)な世界。
・ランダムネスの典型はブラウン運動(さっき出た、水に浮かべた花粉の動き)。水の分子はそれぞれが勝手に動き回っていて、確率的にしか将来を予測できない。つまりある分子の動きは周りの分子の動きに影響されることはない。
・ラフネス(複雑系)は、分子の動きが周りの分子の動きの影響を受けるような感じ。例えば投資家が別の投資家の行動や思惑に影響される状態。お互いに強いフィードバックが働いて自己組織化するネットワークが複雑系。
・複雑系の典型的な例は飛行機の路線図。複雑系は「ハブ&スポーク」の構造になっており、特徴として遠く離れているように見えても実はけっこう近い。これが「複雑系のスモールワールド(複雑で小さな世界)」。
・宇宙もフラクタルらしい。銀河は自己組織化して銀河団をこうせいすることでべき分布になるらしい。具体的には全くよく分からないが…。
・これ、本のなかでいろんな表記がされているけどランダムネス=確率=ベルカーブ、複雑系=フラクタル=(?)ラフネスってことでいいんですかね…?
・決定論は確率論の中で一定の理論で予測できる特殊なケースであり、同じように確率論も複雑系の中の特殊なケースである。つまり決定論⊂確率論⊂複雑系。
・追記を読む限り
数学・物理学系アカデミアが使ってた用語:複雑系=カオス理論:、なのかな?
大体同じ時期に発見していたっぽいけど、民間企業に勤めてたせいでアカデミアに認められなかったのなら気の毒。でも論文にいちいち「自分が発見したんだ」と申し立ててなのならそれはそれでちょっと嫌だな。
疲れたので感想は複雑系だけで終わってしまうが(ひどい)本全体を通して「進化論」が横軸で貫いててとっても面白かった。いい本でした。