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ちょっと長めの独り言

あの子の欠片が見つからない(アンディ・ウィアー「プロジェクト・ヘイル・メアリー」感想)

読みました。「三体」がものすごく面白かったんですけど、「三体」の次はこれ!って感じでおすすめされているのを見かけることが多かった1冊。
以下感想です。ネタバレです。










・「三体」読んだ後に読むと、「そんなにうまくいくはずない!なにか裏があるんだ!気をつけるんだ!後ろから刺されるぞ!」みたいな気持ちが最後まで消えなくて、ずっとハラハラしながら読んでた。刺されませんでした。
・「三体」と違ったのは、個人と個人(個人?)の出会いだったことかなあ。そして2人とも研究者、職人気質だった。政治的な利益判断よりも未知への好奇心が勝っていた感じ。そしてアストロファージ対策という差し迫った共通の目的があった。
・面白かったんですけど、「三体」を意識して読みすぎたのでちょっと物足りない感。面白くないわけではないんだけど、「三体」のような世界がひっくり返る感じを期待してるとアレ?ってなるかも。方向性が全く違う。
・主人公の試行錯誤が見えて面白い。上手くいくこともあれば失敗することもある。その失敗が命取りになる場面ももちろんあって(機体が高音になりすぎて溶けアストロファージが飛び出ていくシーンやキセノナイトに潜り込めるタウメーバを生み出してしまったシーン)、その失敗は自分の死だけでなく地球の命運とも直結していてスケールが大きい。やってることは個人の実験っぽい感じなのだけど。
・終わり方が好き。地球へタウメーバを送り出し、自分が生き延びることは諦めてロッキーを助けに行く。そして助けたロッキーのおかげで生き延びるアイディアを得る(タウメーバを食べるという名案!笑)。そして主人公はエリドで暮らし、エリドから太陽を観察した結果、地球の人々がアストロファージを克服したことを知る。うん、いい終わり方だなあ。
・エイドリアンとエリド(エリディアン)は名前が似すぎててこんがらがるので全然別の名前にしてほしかった。映画ロッキーを知っていればすんなり入ってくるものなのだろうか。
・ヤオ隊長とイリュヒナの死について後半で明らかにされると思ってたんですけど何も無かった。主人公が生命維持装置を引っこ抜いたオチだと思って読んでたんだけれども。単に長期間のコールドスリープに耐えられなかったってことなのかな。とりあえず1人でも耐えられた人がいてよかったね、ってことなのか?
・化学に詳しければもっと楽しんで読めたんだろうな〜とちょっと悔しかった文系人間でした。

面白かったです。映画化に向いてるんじゃないかな?ハリウッドに期待。