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ちょっと長めの独り言

ひかりかがやく(椎名うみ「青野くんに触りたいから死にたい」感想)

青野くんに触りたいから死にたい、読みました…。いやーめちゃめちゃ面白かったです。
以下4巻までの激しいネタバレとココがいい!っていうシーンの列挙です。あと考察と下ネタ。










○感想
・何がいいってまず女の子がかわいい。かわいい女の子好きな人はぜひとも読み始めてほしい。主人公の優里ちゃんも友人の美桜ちゃんもかわいい。純粋でよい子たち。
・男の子もかっこいい。絵柄がイケメンとかでは全くないんだけど、読み進めていくと女の子はかわいく、男の子はかっこよく見えてくるんですよ。いい漫画だなあ。
・あとエロい。レビューではちょっとエロもあるよ!みたいな紹介をされていたけど、結構なエロでは…? 黒青野くんが優里ちゃんにごはん食べさせるシーンとか絵面がまんまそんな感じで青野くん!控えて!!とハラハラしていた。
・あと「セックス」「オナニー」の単語が割とフォント大きめで出現したりするので、公共の場で読むのはオススメできない感じです。電車で読んでてちょっと焦った。家で読もうね。
・でもこの話は生と死のお話なので、そこにエロがあることは当然といえば当然なんだと思います。

・優里ちゃんと青野くんのやりとり、いちいち切ないんだよなあ。なんか2人が喋るたびに尊い…ってなる。
・青野くんに恋をする限り優里ちゃんは将来結婚とか家庭とか社会的な幸せは訪れないし、そして青野くんと一生一緒にいられる可能性ってすごく低いじゃないですか。でも優里ちゃんは今すごく幸せっててらいなく言うんですよ…。その幸せって、極端に言えば今だけのもので、だからこそ尊い…ってなる。
現代版ロミオとジュリエットなんだろう。決して結ばれることのない(結ばれてはならない)2人。

○好きなシーン
・2話の歌を一緒に練習するお話がすごく好きで、幽霊と人間だけど2人はとても幸せな時間を過ごして、抱きしめる方法も見つけて(電柱)、2人の関係に誰も介在しなくて、閉じた平和な世界なんだよ…
・2巻ラストの黒青野くんと優里ちゃんのキスシーン、映画みたいでめっちゃ好きなんですよね。見開きで、授業中の教室で、生徒が沢山いる中での誰にも見えない静かなキスシーン。
・続く3巻予告ページの見開きもめっちゃ好き。学校の廊下を歩く黒青野くん、それを追う優里ちゃん、無数に伸びる生白い手。
・他にも独特の世界観で印象的なシーンが沢山あって、何だか映画を見ているような気持ちになれる。

○好きなキャラクター
・堀江美桜ちゃんっていうね、優里ちゃんのお友達がね〜めちゃめちゃいい子なんだよ〜。ホラー好きな引きこもり系オシャレ女子なんだよ〜〜。優里ちゃんが家に来るからってかわいい服きてちょっといいお菓子準備して待ち合わせの45分前からそわそわしてるんだよ〜〜〜
・あと4巻での発言もさあ…優里ちゃんが処女じゃなくなれば青野くんと契約解除されるのでは?ってみんなが思った時、「つまりなすすべなしってこと!!」って声を大にして言ってくれるんだよ…。なすすべは有るんだよ、でも堀江さんは優しくて、優里ちゃんを大事に思っているから「なすすべなし」なんだよ…。

・あと藤本くんですよ…。私当て馬的ポジションの人にはどうしたって感情移入してしまって、4巻ラストの「俺にしときな」って藤本〜〜!それ当て馬的ポジションの人の定型文!!って謎に焦ってしまった。
・でも比較対象が青野くんじゃなくて得体の知れない男たちだからな。まだ大丈夫。当て馬じゃないよ。しかも「心配だから」そう言ったんだもんね。全然大丈夫。いけるいける。
・というか藤本くん4巻ラストシーンの記憶を持ちながらこれから生活していくの?大丈夫??藤本くんの精神が心配すぎるな。。


○考察っぽいもの
・いつも「キスして」って言って優里ちゃんからのキスを待っていた黒青野くん、教室のシーンでは優里ちゃんの許しを得ずに静かにキスをしているんですよ。ここに特別な意味を見出したい。オタクとしては。
・3巻の花盛りの山のシーンで、優里ちゃんは「美桜ちゃんの家の前でのキスを1回、体育館でのキスを1回、返して」っていうんですけど、黒青野くんはつま先に1回、指先に1回、そして最後に「返して」とは言われなかった唇へのキスを返すんですよ。そこに特別な意味を見出したい。
・このシーンもめちゃめちゃ素敵で、泣いている優里ちゃんにキスをする青野くんの背景には花びらが沢山舞っているんですよ。花盛りの山のなか、異世界に2人はいるんですよ…


○めっちゃ下ネタな考察
4巻ラスト、なんですけど、めっちゃ下ネタになるんですけど…。

あのまま中断されることなく続けていた場合、青野くんはどの段階で藤本くんに戻るのかを考えた場合、めっちゃ闇深くないですか?
①血の穢れで憑依解消の場合
優里ちゃんは処女なので、青野くんにソレされると血が出るじゃないですか。その時点で青野くん憑依解消されてしまうのでは?
そして残されるのはソレした状態の藤本くんと優里ちゃん。えっそこから中断するのは鋼の精神が必要じゃない? 高校生男子には酷過ぎるのでは??
②処女性の喪失の判定タイミング
処女はどの段階で処女ではなくなるのかって深遠な問題だと思いませんか。ソレしたタイミング? もしくはソレのあとアレしたタイミング?
もしアレしたタイミングで処女喪失判定であれば問題ないと思うんですけど、ソレのタイミングで既に処女喪失判定されてしまうとその時点で青野くん消えてしまうでしょう? そして残されるのは優里ちゃんにソレした状態の藤本くんなわけでしょ? ど…どうするの!?そこからどうするの???
中断にしても続行にしても藤本くんの心に深い傷を負わせることに変わりないんだよな…。今回の件は藤本くんにとって失敗で良かったんだよ、良かったね…藤本くん…。

○まとめ
・「好き」の概念の純度を高めすぎると「狂気」になるんだなっていうのがよくわかる。


久しぶりにめちゃめちゃ楽しかった漫画でした。ワールドトリガー、アクタージュ、青の祓魔師、そして青野くんに触りたいから死にたい。先を読むのが楽しみな漫画が沢山あるって、つまり生きる希望を持てるってことで。はー漫画って素晴らしいな。

芽吹くのは春(高野誠鮮「ローマ法王に米を食べさせた男」感想)

読みました。いや〜面白かった。以下感想です。

・主人公、破天荒〜! 自分の仕事内容を書いてここまでドラマティックになるのすごい。毎日が充実している。
・とにかく「調べる」ことから始めるの、見習いたい。
・役所の周りの同僚は大変だろうけど、地区の人たちもバタバタで大変だろうけど、でも楽しそうでもある。なかなか出来なくないですかこんな体験。
・著者はお坊さんなんですけど、仕事をするうえで、というか生きていくうえで、自分の人生観とか、倫理観というか、生き方に通った1本の線というのがめっちゃ大事なんだな〜と思った。当たり前すぎる感想なんだけど。そういったことを改めて感じさせる良い本でした。

夕暮れのアリス(高野秀行「未来国家ブータン」感想)

高野秀行の「未来国家ブータン」、読みました。もーめちゃめちゃ面白かった〜!
前に読んだ「土漠の花」の舞台がソマリアで、この高野秀行ソマリランドの本面白かったよな〜とふと思い出して、こちらの本を読みました。いや〜読んでよかった〜めちゃめちゃ面白かった〜。
以下ネタバレ感想です。














圧倒的に面白かったのが毒人間の話。こういう秘境で、しかも表向き環境立国、幸福国家を唱えている国で、タブー扱いされている差別の話。不謹慎極まりないんですけどめっちゃ面白い。著者、もっと突っ込んで聞いてほしい…。
いえ、最後には差別は可視化されており現国王によって差別撤廃が進んでるって話だったんですけど。
あとたまらないのは5本の触手が生えた帽子を被るサクテン村の人々…。みんな外部から来た著者には何を聞かれても「知らない」「そんなものは無い」って答えるの。で、村の偉いお坊さんに「彼を案内してあげて」って言われると打って変わったように村の各地を説明してあげるの。すごく…楽しい…。この村もしかしてTRICKで出た?ってくらいのこの感じ。調べたらTRICK南シナ海だった。ボルネオ島ベトナムあたりらしい。残念、山岳地帯じゃなかったー。
うおーんブータンを舞台にしたサスペンスミステリめっちゃ読みたい…。黒幕は幸福国家を謳うブータン政府。絶対面白い。

以下箇条書き。
・ちょくちょく出てきてたけど遠野物語感あるよね? なんかミゲやチュレイについてブータンの人々が語るときの…書体が…遠野物語っぽくない??
ミャンマーは山岳地帯が多くって、崖に沿って道を歩く場面も出てくるんだけど、なんかそういうのRPGで見た〜って思って興奮した。
・旅の終わり、ずっと同行してくれたツェンチョ君の著者への冷めた対応について「対応が妻に似てきた」って評するところ、そこはかとなくBLの香りを感じた。
・写真が楽しい。どの村に行っても山に囲まれている。
・この人の本、とにかく文章が面白くて読み進めるのが全く苦にならないんですよね。そして、著者の目から見たブータンは輝いていて、不思議に溢れていて、謎に包まれていて、めっちゃ魅力的な国なんだよね〜! なんかこういう風に紹介してもらったら、もう自分の目で見なくてもいい、むしろ著者が与えてくれたイメージをそのまま持っていたいという気持ちになります。この人の本は本当にハズレがない。

いや〜面白かった〜。この方の腰痛の本もめちゃめちゃ面白いと聞いたのでそれも読んでみようかな〜。

もうすぐ春になる(28歳にむけて)

明日私は28歳になる。
びっくりするなあ。28歳って、とても大人だ。
私は、幼かった私が思い描いていたような28歳になれただろうか。

ここ数日、「27歳のうちにやるべき事」という検索ワードでググッている。結論としては、27歳のうちにやるべき事、ないっぽい。でも20代のうちにやるべき事はいっぱい出てきた。

いろいろある中で私もやっていきたいなと思ったこと。以下のとおりです。

・筋肉をつける。若い時から筋肉貯金。
・両親に感謝する。恩返し。一緒にいる時はスマホを触らない。
・転職する。いやしなくてもいいけど、転職するんだ!と思いながら日々の仕事をする。それは転職したあと役に立つ仕事か?
・英語
・プログラミング
この2つ、いろんなブログで触れられており、そんなにいいんかなと思って。英語は以前TOEIC800超えたのが1番よかったので、その頃の力を取り戻したい。プログラミングは全然分からないのでとりあえず触ってみたい。

28歳にふさわしい人になれたかなあ。ねえ昔の私。どう思う?

さよならだけが人生だ(映画「トイストーリー3」感想)

トイストーリー3を鑑賞しましてですね、めちゃめちゃ面白かったです。
以下ネタバレ感想です。。











そもそもなんでトイストーリー見始めたかというと、私は今キングダムハーツというゲームにハマっておりまして。そこでトイストーリーのステージが出てくるんですよ。
キングダムハーツに出てくるステージで、今まで映画を全く見てなかった作品(ベイマックス)はキングダムハーツをプレイする前に予習として鑑賞してたんですけど、トイストーリーは知ってるしいいかな〜って今まで見てなかったんです。

キングダムハーツファンに声を大にして言いたい。舞台になったディズニー映画、絶対見た方がいい!!!!!

めちゃめちゃ楽しいんですよ。なんかね、アンディの家の構造が分かる。画面の右下にマップが表示されているような錯覚。そのベッドの下には宝箱があるし、本棚には隠れミッキーがあるし、家の前の道をまっすぐ行くとおもちゃ屋さんにたどり着くし、隣の家の花壇にはローリエが植えられているんだ。私は詳しいんだ。
いやほんと…めっちゃ楽しいので…。キングダムハーツをプレイした全人類に映画見返してほしい。
あとアンディ、ゲームで出てこないのでアンディ出てきた瞬間「アンディだーーーー!やったーーー!アンディ!!!」みたいな気持ちになる。
バズは映画を見ると「声おかしくね?」って思うんですけど所ジョージさんなんだね。絶妙に覇気のないバズはめっちゃ違和感があったんですけど、最後まで見るとまあこれも有りかなって思いました。
そう考えるとキングダムハーツはほぼ映画と同じ声優さん使ってて凄いな!アナ雪もモンスターズインクも映画と同じだったよね??
トイストーリー3、かなり大人が見てもジーンとくる内容になっててめっちゃよかった。アンディとのお別れの話だもんね。でも最後めっちゃ幸せな気分になれる。こんなに幸せな時間を過ごさせてくれてありがとうアンディ。いやアンディのおもちゃたちめっちゃ幸せだと思わん??18歳まで同じ部屋で過ごして、大学に行くことになっても捨てるわけでもなく屋根裏で保管しようとし(きっと思い出が詰まってるから捨てられないんだよ。)、ウッディにいたっては引越し先まで持っていこうとする。そんなに大事にしてるのに、最後は彼らの幸せを思って、楽しく遊んでくれる子供にプレゼントするんだよな。切ねえ。いやほんとおもちゃ冥利に尽きるってもんですよありがとうアンディきみと過ごせて幸せだった。

トイストーリー3を全人類見てくれ。

夜間飛行(月村了衛「土漠の花」感想)

読み終わりました。このミスで知って、書評サイトでも評判のよかった本作。
以下ネタバレです。










・舞台がソマリアっていうのがいい。以前読んだ「謎の独立国家ソマリランド」を思い出しながら読んだ。いや〜あの本で読んだイメージと全然違う。夢のハッピー麻薬ランドじゃない。
・氏族とかやってたなあ。族長の力が強くて、羊とラクダで解決とか。もう1回読み直そうかなあ。
・お話はハラハラドキドキアクションムービーみたいな感じ。ページを捲らせる力があるのであっという間に読み終われる。
・映画のザ・コアみたいに順番に死んでいって最後主人公とヒロインの2人しか残らないかと思った。複数人残ってよかった。
・アスキラ、戦う美しい女性なのが良いです。女性がお荷物扱いじゃないのがいい。
合気道、よく小説に出てくるけど本当に実践で使える? かじった身としては合気道が活躍してて嬉しいけどなんか違和感がある。自衛隊レベルなら実践でも通用するんだろうか。
・新開…。好きだ。なんで死んでしまったんだ。同じく梶谷も好きだったので死んでしまって悲しい。いや小説にこんなこと言っても仕方がないんですけど。

あっという間に読み終われる小説だった。面白かったです。

絶えなば絶えね(若竹七海「さよならの手口」感想)

さよならの手口、読みました。本当はこのミス入選作品を読もうとしてたんだけど、図書館で貸出中だったのでこちらを選択。カズレーザーもオススメしてたと聞いてめっちゃ期待しながら読んだ。
以下盛大なネタバレです。







1つの巨大な事件を追っているように見えて、実は複数の事件が重なり合っている。それがとき解されていくのがとても楽しい。
大きな風呂敷を広げて、畳み切っている。すごい。すごいなあ。素直に感心してしまった。

謎解きはめちゃめちゃ面白いけど、読後感はザラっとしている。ハッピーエンドではない。後味の悪さ。

私、めっちゃ印象に残ったのが岩鄉家の話なんだよね…。お母さんのことめっちゃ好きになってしまった。お母さん、葉村が来る前からずっと無意識では犯人が分かってたのかなあ。あえて意識を向けないようにしてたんだろうか。芦原吹雪の家からお父さんの遺体が見つかってほしいって、そんな悲しいことってある? テレビでお母さんの姿を見て駆けつけてしまう葉村の気持ちわかる…。そんなのいても立ってもいられないよね。
お父さんとお母さん、田舎で畑してて欲しかったなあーー!絶対いいお父さんじゃん、お母さんのこともめっちゃ大事にしてくれそうじゃん、だから犯人辛すぎる。。2人が送っていたであろう幸せな隠居生活を思うと。。息子バカヤロー!