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ちょっと長めの独り言

生命の庭(高野和明「ジェノサイド」感想)

読みました。「打ちのめされるようなすごい本」に乗ってた本シリーズ。本当は高野和明13階段」を読もうと思ってたんですけど、図書館に置いておらず、代打で「ジェノサイド」。
以下感想です。

圧倒的リーダビリティ。とにかくめちゃめちゃ面白くて、ページめくる手が止まらない。当初の数十ページから予想した展開とは全然違う所に転がっていく、想像を上回るワクワク感。
多分この小説を読んだ多くの人が感じると思うんですけど、作者の反米をはじめとする思想、それがとても物語に反映されている。抵抗ある人は抵抗あるかも。
もし作者が、思想の普及の意図もあってこの小説を書いたのなら、その目論見は成功しているんじゃないかな。だってとても面白いから。一部の読者には確実に影響を与えると思う。このストーリーの面白さ故に、数えきれない人がこの本を読んだし、そしてこれからも読まれ続けると思う。後世への影響、実は凄いんじゃない?

それにしてもとっても面白かったです。読後感もよい。「面白い小説」を求めている人にはオススメしたい。

夜空を切り分ける(星野博美「みんな彗星を見ていた」感想)

読みました。星野博美「みんな彗星を見ていた」。米原万里さんの「打ちのめされるようなすごい本」にで書評が乗ってたんですけど、私この「打ちのめされるようなすごい本」がすごく好きで。この本の中で登場する本を少しずつ読んでいこうと思っている。

第1弾は星野博美さんの「転がる上海に苔は生えない」のつもりだったんだけど(上海デモが今ニュースで取り上げられていることもありこちらの本を選んだ)、残念ながら地元の図書館では所蔵していないとの事。妥協案として同じ著者の「みんな彗星を見ていた」を借りてきました。

リュートから始まる、キリスト教を中心としたお話。キリスト教でなんでリュートの話?って思ってたんですけど、めちゃめちゃ面白かった。リュートを作る時、著者は「できるだけアラブの特徴が残るように」って注文するんです。「アラブ風に」ではなく。なんかこの人のこととても好きだなあと思ってしまった。

キリシタンの世紀」から見る日本でのキリスト教の歴史について。私は遠藤周作「沈黙」の印象が強かったんですけど、あれは本当に一部のみが取り上げられているんだなあと。(だからこそ1人の宣教師に感情移入出来て、身に迫る読書体験ができるんだと思うんですけど。)
加害者としての日本について。長崎での宣教師の虐殺。歴史では、得てして加害者としての歴史は語り継がれないもの。日本ではあまり認識されていないが、スペインなどでは日本での宣教師の処刑は有名。

キリシタンの歴史については、著者はとってもキリシタン寄りの捉え方をされており、なかなかそこまで気持ちがついて行かなかった。徳川家康キリシタン虐殺を決めたのが関東の浜辺だったらしく、「その場所を通るたび背筋が寒くなりそうだ」と感じるシーン、とてもキリシタンに思い入れを強くされているんだというのがわかる。私なんかは「そんなことでゾワゾワしてたら日本全国各地でゾワゾワしないといけないのでは…」などと思ってしまう。

当時の鈴田牢に入っていた宣教師の手紙などを一つ一つ読みといていくところ、大学の研究者の人みたいだな〜と思った。読み解くにつれて、書簡などに一人一人の性格や個性が滲み出てることに気がつくところ、そして推しキリシタンが出来てしまうところ、親近感を感じてしまう。宣教師のことが好きになってしまうんだよな。

彼らの殉死に対する考え方について。彼らが本当に心から喜んで死を迎えられたのだと思えば、彼らのあの悲惨な結末にも救いはあったのかなと思える。私はこの本を読むまで「殉死」に対するカトリックの特別な考え方を認識していなかったから。でも、彼らの書簡には殉死することを誇りに思うような書きぶりが残っているけど、本当にそれだけなんだろうか。だって、日本人は考えられないような残酷な殺し方や苦しませ方をしてきた。彼らの心の中には、怯える気持ちや、生き続けたいという気持ちもわずかにありながら、それでも信仰心が勝って死を受け入れたんじゃないだろうか。特にキリスト教を信仰するわけではない、現代を生きる私には、そんな風に思えてしまう。

最後、パードレ達の故郷を訪れるところがとても良かった。コンゴ人の宣教師の話。日本で処刑された宣教師を聖人として崇めるスペインの村の人々。彼らは、その宣教師が殺された時、イエズス会など他の会の宣教師や数万人の日本人キリシタンが殺されたことを知らない。(私だってそういう認識がなかったのだから、当たり前のことではある。)
お互いに伝え合いながら、理解を深めていく。かつての日本人キリシタンは、宗教心からだけではなく、パードレその人に会いたくて教会に通っていた部分もあるのだろう。人間的魅力に溢れた宣教師たち、彼らの日本での生き様を知ることが出来る良書。

眠れない夜の魚(聖千秋「スパデート」感想)

またやらかしました。1巻無料試し読みキャンペーン中の漫画を一気に購入しちゃうやつ。こういう衝動買いは得てして寝れなかった夜の深夜にやりがちなので、楽天koboは夜12時~朝6時まで購入禁止できるシステムを開発してほしい。

衝動買いしちゃったのは聖千秋「スパデート」。
以下、懺悔代わりの感想です。

・主人公(男)の顔がいい。100点。
・ヒロインも顔がいい。美女設定じゃないんだけど、むしろ芋とか言われてるんだけど、読み進めるうちになんだかえも言われぬ美人に見えてくるんだよなあ。不思議。
・ストーリーは、心が死んでるイケメン社長がスパとヒロインに癒される話。イケメン社長は心が死にすぎていて女の人の顔が豚とか鳥に見える。
・主人公に感情移入し、ヒロインに癒されるのが、この漫画の楽しみ方の1つだと思う。
・少女漫画目線で見るとカテゴリ的には「救う系」。私のようなアラサー世代のオタクは白泉社で育ったようなものなので、「フルーツバスケット」とか好きだった人はこちらの作品も好きなんじゃないでしょうか。本作品のヒロインは透くんに通じるものを持っていると思います。
・もちろんこの漫画を現実に重ね合わせて、ヒロインに自己投影して恍惚とするなんてことは、もうこの歳では出来ない。というかアラサーになると恋愛漫画なんて全てファンタジーなんです。さっき救う系とか言ったけど、もっと大枠では「ファンタジー」に分類されるんですよ。ハリーポッターダレン・シャンと同じカテゴリに属するんですよ。

・私がめちゃめちゃ不満なのは、豚の内山さんに全ての嫌な役割を押し付けて、特に救いもない所なんですよね〜!! 私はとにかく女性キャラが好きだし、全員幸せになって欲しいし、幸せになるとまでいかなくても何らかの成長を見せて欲しいんですよ。内山さん、嫌な役割を一身に背負うにもほどがあるでしょ!! 御坂くんも結局はいい人ENDだし、元々事務所にいた2人の女性も話が進むにつれ「うざい女オーラ」を出さない感じになってきてるし…。もう悪者は内山さんだけじゃん…。ちゃんと内山さん編を解決させてくれ。私は1巻の不器用ながらも頑張って仕事したりお茶入れたりしてた内山さんが結構好きだったんだよ…。

次の巻が出たら買っちゃうかも。内山さんの人生を見守りたい。

終わらない夢を見る(ジャニーズJr Travis Japanについて)

ハマってしまったんです。
ハマってはいけないものにハマってしまったんです。
ジャニーズJrのTravis Japanにハマってしまったんです。


私、今年29歳になるんですけど、今までジャニーズにとんと興味がなかったんですよね。そういう人間が今更ハマってしまうの、端的に言って人生終了っぽくないですか?

ハマったきっかけってはてなブログだったと思う。ジャニーズJrの紹介記事みたいなのにTravis Japanの定点ダンス動画のリンクが貼ってあったんですよね。
https://m.youtube.com/watch?v=pN0tLzS6Lqc&t=42s

私、かつて若かりしニコ厨だった頃、踊ってみた動画を結構見てたんですよね。あの頃はDO@RATやみうめさんのファンだったんですけど、一時期にゃんたろプロジェクトの腐れ外道とチョコレゐトを狂ったように見ていたんですよね。あの頃から6人くらいのダンスが好きだった。

https://www.google.com/url?sa=t&source=web&rct=j&url=https://sp.nicovideo.jp/watch/sm14850384&ved=2ahUKEwia6PvFqJfjAhXGc94KHW3VB3YQwqsBMAF6BAgGEAU&usg=AOvVaw3pQUz9ZOioawcs5-qt25A8&cshid=1562107708571

踊ってみた系が好きな人、きっとTravis Japanの定点動画も好きだと思う。そしてそのクオリティに驚愕して欲しい。
なお推しは吉澤閑也さんです。あと今びっくりしたんですけどSimejiは吉澤閑也が一発変換で出る。まじか。七五三掛龍也も出る。Simejiすごい。

吉澤閑也さんのHappy Groovyの首がぐりんって横を向く振り付けのところが好き。あとハンガーに吊り下げられたまま前に進む振り付けのところも好き。わかる??

https://www.google.com/url?sa=t&source=web&rct=j&url=https://m.youtube.com/watch%3Fv%3DqfWEJHOklyo&ved=2ahUKEwiH_YHYqZfjAhVPQd4KHXycDeQQwqsBMAB6BAgGEAU&usg=AOvVaw1alp6339xuUCQtMXQMSYYY


あとSnow Manも好きです。佐久間大介さんと深澤辰哉さんが好き。
Snow ManTravis Japanが一緒に出てるこの動画は大変良い。お得感。
https://www.google.com/url?sa=t&source=web&rct=j&url=https://m.youtube.com/watch%3Fv%3DY0IZsIv180A&ved=0ahUKEwiGkqvAqpfjAhXWc3AKHdeaD8MQo7QBCCswAA&usg=AOvVaw1XfyaapBvr3waRiQx1jfw-

「居酒屋バイトのふっか先輩」っていうのを見かけて、ときめきが止まらない。妄想怖い。いいな〜ふっか先輩と一緒に居酒屋バイトしたいよな〜。
あとめちゃめちゃ怖いのがふっか先輩私より年上なんですよね………。オタク界隈での「年上のお姉さん」をまさか自ら味わうことになるとは思わなかった。

とにかくSimejiはすごい。Simejiには是非ともTravis Japanを半角スペース入りで一発変換できるようアップデートしていただきたいです。

ココロオドル(冲方丁「天地明察」感想)

忙しい。忙しいんです最近。
まず、青の祓魔師の新刊発売忘れてて慌てて購入。あと待ちに待ったワールドトリガー新刊発売(芦原先生からだ大事にしてください…)。ワートリ公式Twitterからの爆弾投下。そして生まれて初めてジャニーズに興味を持つ(ハマってない、ハマってないです)。極めつけはFGO新章配信ですよ。
あとちょくちょくクリムト展が日曜美術館に登場とかお見合い大作戦とか美女と野獣とかアラジンとかあって。大変なんですよ!

そんな中、冲方丁天地明察」読んだので感想です。

・まずめちゃめちゃ面白かった。2019年小説部門ナンバーワンかもしれない。
暦を作るとかお堅いテーマで、ベースは史実なんだけど、なんだこれラノベか?ってくらいの読みやすさ。キャラ立ち凄くないですか。最近学んだんですけど、ぐいぐい読ませる力=リーダビリティっていうんですね。リーダビリティすごい。
なんかもう怒涛の展開なんですよね。特に前半、出来事はなんというか日常的な事なんですけど、主人公(=読者)としてはものすごい事件の連続。絵馬を一瞬で解く男との出会い、えんに対する淡い感情、関への出題、そして病題。
ここまで全く小説の主題たる暦の話が出ないんですけど、この時点でものすごく面白いんですよ。すごい。

・読んでてヒカルの碁読みたくなった。サイってもしかして本因坊道策だったんだっけ。昔読んだのに忘れちゃったなー。そして初手天元! これ絶対勝てないんじゃなかった? あと碁盤を星空に例えるのもヒカルの碁であったなって。懐かしい。

・一緒に星空観測に行く書道家のおじいちゃんと医者のおじちゃん、めちゃめちゃめちゃめちゃすき。

とにかく面白かった! なんでもいいから面白い小説読みたい!って人におすすめしたい。

楽園の底(映画「海獣の子供」感想)

すごい。なんかすごいものを見た。
見ました海獣の子供…。すごかったです。
以下ネタバレありの感想です。


・事前の評判通り、映像がとんでもない綺麗さだった。海や水族館の描写も良かったけど、私は街の風景が好きだったなー。海辺の街、夏の日差しで全ての色が濃く映える街。冒頭の坂をかけ下りるシーンとか。CGと組み合わせた映像が本当にどこを切り取っても綺麗だった。そしてクジラのシーンはさすがの美しさだった。あと海の中が凄いんですよ。花畑か?楽園か?ってくらいの美しさ。圧倒的。
・主役3人の声がすごく良かった。芦田愛菜ちゃんってすごいな! うみくんとそらくんの声もとても良かったから、エンドクレジットめっちゃ注目してたんだけど2人とも知らない人であった。公式サイト見たら声優さんじゃない若い人なんだね。これから頑張ってほしい。
3人の声、それぞれすごく良くて、なんかえも言われぬ色気みたいなのを感じたんですよね…。それってあの年代の少年少女だけが持つものなのかもしれない。いや本当に声がよかったのでみんな見てくれ。
・映像のファンタジー感。豪雨の中自転車を漕ぐルカが海に泳ぐ景色。漁港からの道すがら乗せてもらったタンクローリーにまとわりつくイルカたち。最初のハンドボールのシーンの圧倒的な現実感から、徐々にそういう描写を差し込んでいって、気がついたら観客は非現実的な描写を受け入れている。
・私、この映画とスピッツのイメージが重なるんですよ。あと、村上春樹。理屈で説明できないもの。理解できないもの。
「君の名は」とかは「主人公とヒロインの時空が交錯する」っていう点がファンタジーで、観客側はその設定が理解できるのである意味安心して見れた。「海獣の子供」は理解できない。何がどこまでファンタジーなのか、わからない。どういう設定のファンタジーなのかわからない。そのわからないということに対する不安感や、わからないものはわからないまま観客が受け入れる感じが、スピッツの楽曲や村上春樹の小説と似ているように感じる。
・あと言語について。人間は言語化し得ないものは伝えることができない。クジラは、そのまま、あるがままを伝えることができる。クジラすげーってことより、人間の世界ってなんて不自由なんだろうっていうことが印象に残った。Twitterでも「言語なんて感情の下位互換」みたいなツイート見たもんな。そして言語からこぼれ落ちたものを、笛で風に語りかけるおばあさん。この映画の世界の言語に対する姿勢がなんかとても好きだった。
・後半、クジラに飲み込まれて以降の世界は、幼い頃に見た天国と地獄の世界のビデオを思い出した。人間が想像する、星の誕生と、天国と地獄の世界って似てるんだなあ。
・米津玄師、思った以上に映画に寄せた楽曲でびっくりした。歌い方も今までと違ってるよね? 効果音、「クジラの声かな? 星の落ちる音かな?」って思う部分があったんだけど、クジラの鳴き声と、星の落ちる音って似てるんだな。すごいな。
・私、この映画どちゃクソ面白いやんって思ったんですけど、見終わったあと同行者が「全然面白くなかった」って言ってて驚愕したんですよね。まじかよこんな名作映画だったのに!? でもその評価の違いも面白いなって思った。評価の違いは、上記の「わからない」をわからないまま受け入れる人か、理解してから受け入れたい人かの違いなのかなと思う。
あとね、海獣の子供、シナリオが気持ち少女漫画感がないですか? 同行者は男性だったのでその少女漫画感も肌に合わなかったのかなと思われる。
ちなみに私は空くん派です。空くんが夜の海に光りながら沈んでいき、そして彗星になるシーンが心にグッと来すぎて、あのシーン見た時点で既に私は名作認定していた…。大好きなシーン。


いやーとっても面白かった。今年の映画部門ナンバーワンかもしれない。
私も分からなかった所がいっぱいあるので、考察を読み漁りたい。そしてあわよくば2回目見に行きたい! みんなも見に行ってくれ! そして感想ブログ書いてくれ!

夢に続きを(映画「チア☆ダン」感想)

鑑賞しました。チア☆ダン。☆を真ん中に入れるので合ってますか??
以下ネタバレ含む感想です。


・とにかく広瀬すずが可愛い。「ひかり(広瀬すず)は笑顔だけはいい」って顧問の先生に言われるシーンがあるんですけど、ものすごい説得力なんですよ。ほんと…笑顔かわいい…。広瀬すずの笑顔を見るためだけにこの映画を見てもいい。損はしない。

・「いけてる」「いけてない」が評価基準なの、学生時代を思い出したなあ。県大会で優勝できなかった時、友達が「めっちゃダサかったよ!」みたいなことを言ってて、でもちゃんと広瀬すずと仲良しなの、友達やさしいな…って思った。優しくない友達なら、友達2人で遊ぶようになって、なんとな〜く広瀬すずと遊ばない感じになると思う。スクールカースト

広瀬すずがセンターになった時、中条あやみがみんなの前で心情を述べてどちゃクソ気まずい空気の中、広瀬すずは「私、センターで踊る。」ってただそれだけを言い切ったんだよね。「自信ないけど」とか「部長に負けないように」とか言い訳的なものとか一切なし。もうね、100点。対応が100点満点じゃない? 広瀬すず、君は一生スクールカーストのトップにいる人間だよ…。

・ストリートダンサーの子めっちゃ好みだった。山崎紘菜さんね、覚えた。顔が好き。身長高いところも好き。

・私はドラマのチアダンを先に見てたんだけど、ドラマ版ってほぼ映画のシナリオなぞっただけでは。これ映画ファンはドラマ見て腹立たしかっただろうなー。もう「ドラマ版は映画のリメイクです!」って言えばいいのに、映画版の数年後、別の高校での話とかにするからなんか丸パク感が出てしまって、ドラマ版の低評価も頷ける。でもドラマ版の土屋太鳳かわいかったよ。

は〜面白かったです。みんなこの映画の常軌を逸してかわいい広瀬すずを見るといいよ。