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ちょっと長めの独り言

ブーケンビリヤの木の下で(吉野源三郎「君たちはどう生きるか」感想)

読みました。ベストセラー「君たちはどう生きるか」。
ベストセラーだし、みんな読んでるっぽいし、読んでみるかーと手に取ったもの。もともと家族の持ち物だったので。
ずっと食わず嫌いというか、なかなか気が乗らず放置してたんだけど、あぶらげ事件以降はスラスラっと読めた。
以下感想です。



・なんとなく全編を通して道徳の教科書っぽさが漂う。特に北見くんが黒川くんに殴られた時、水谷くんと浦川くんは約束どおり助けに(殴られに?)行ったのに、コペル君だけ行かなかったところとか...。コペル君、自分のズルさを正当化せず、その心のもやもやを上手に言語化して叔父に伝えることができるの、並外れた才能を感じる。そんなん出来なくないですか。異常なまでの素直さと言語化の能力。そして、自分を正当化することも出来ただろうにそれをしなかった強さ...。コペル君すごい。君は将来有望だよ。
・私なんかは絶対「あの時足が痛くて動けなかったんだよね...」みたいな後付けの嘘の理由を考え出して自分の中で正当化しちゃうタイプ。そういうのないですか。自分のついた嘘を自分で信じて、自分の中で罪をなかったことにすること、ないですか。私はそういうのとてもやりがち。最悪だな。だからこそコペル君すごいなって思う。そのまままっすぐ育ってくれ。
・ナポレオンに触れられていてちょっと嬉しい。ナポレオンに限らずFGOのサーヴァントたちの名前が出てくると嬉しくなっちゃうんだよな。「英雄とか偉人とか言われている人のなかで尊敬できるのは人類の進歩に役立った人だけだ。」っていう文章があって、FGOじゃん...ってなってた。人類史じゃん...。いや偉人がFGOじゃないんだよ。FGOが偉人をモチーフにしているのでそれは当然のことではあるんだけど、それでも燃える。「彼の奮闘的な生涯、彼の勇気、彼の決断力、それからあの鋼鉄のような意志の強さ!」もっと言ってくれ。
・水谷くんのお姉さんとロマンスの香りがする。きっとこの後コペル君は水谷くんのお姉さんに憧れと仄かな恋心を抱くんだけど、お姉さんは家にとってメリットのある、名家の年上の男性に嫁ぐことになるんですね。そしてコペル君は青春時代にピリオドを打つ。妄想。
・これの前に行動経済学の本ばかり読んでたんですけど、この本のエピソードを行動経済学の視点から解説した本があれば欲しい。誰か書いてくれ。
・叔父さんと結婚したい。夜道を歩きながらりんごと万有引力の法則についてお話してほしい。ずるさや心の弱さの見える発言をして、いつもと違う強い口調で怒られたい。「人間分子の関係」は学者たちが生産関数と呼んでいるものだよ、と解説してほしい。叔父さん、物理学系の研究者なのかな。枯れたインテリ好き。

この素晴らしい本を読んでの感想があまりにも俗っぽすぎるとは思うんですけど、とりあえず1度読んでおいて良かったです。