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ちょっと長めの独り言

Stand by me(ダン・アリエリー「予想どおりに不合理」感想)

読みました。ダン・アリエリー「予想どおりに不合理」。以下感想です。




・タイトル素敵ですね。「予想どおりに不合理」。
・普段忘れがちなんですけどそういえば私は経済学部卒なので面白い部分も色々あった。そして分からない部分も色々あった。経済学的には100円のポッキーと10円のチロルチョコ、10円ずつ値下げして90円のポッキーと無料のチロルチョコになっても選ぶ割合は変わらないんだっけ?
・無料!の章は面白かった。みんな無料!を選びがちなのは、私は「お金を支払うこと」にある程度のハードルがあるからではないかと思う。(ポケットから財布出すの面倒という意味ではない。) で、そういう持論があったのでハロウィンの子供たちの実験は面白かった。小さいサイズのチョコレートを3つ渡して、無料で中サイズのチョコをもらうか、小さいサイズのチョコレートと交換で大サイズのチョコレートをもらうか。チョコレートの総量を考えれば交換した方がお得なんだけど子供たちは無料を選びがちだったらしい。直感的にはすごく不思議なんだよなあ。同じような実験をぜひ大人に対してやってみてほしいな。
・同じように、年会費無料のクレジットカード選びがちって話も出てたけど、楽天経済圏に暮らす皆さんはわりと年会費有料のゴールドカード作ってるのではないかな。
・「期待」にお金を払っているし、「期待」に応じて印象や評価も変わってくるのはとてもよく分かる。この本も本しゃぶりさんが紹介してなければ読もうと思わなかったし、面白くなくて最後まで読み通せなかった可能性もある。2000円のお弁当がすごく美味しかったと感じたのは大好きな行きつけの料亭のテイクアウトだと分かってたからだし、音楽を聞く時も「これはあの小説のあの場面で出てきた音楽だ」と思うと急にいい曲に聞こえたりする。
・本の内容から外れるけど、私はそのものの価値以上に、そのものが形作られるまでの物語に価値を見出しがちだと思う。アイドルのこれまでの努力や苦労を知っているとパフォーマンスに感動しがちだし、どんな気持ちでその行動を起こしたか語られるとすぐに泣いてしまう。本書の中でビールを選ぶ章があったけど、多分私は「イギリスからアフリカの喜望峰を回ってインドまでの長い船旅を耐え抜くように醸造された」インディア・ペール・エールを選ぶと思う。そのビールは歴史という物語を想起させるから。私はって言うより世の中にはそういう人は多いのかもしれない。
・どこかで「価格そのものが購買意欲を左右する」って書いてあって、実感としてその通りだなあと思った。神の見えざる手の需要と供給グラフ通りにはいかないものなんだねえ。
・ダミーの選択肢があることによって、私たちの選択が左右されがち。自分の中の基準のみで選ぶことは難しい。と自覚しておくこと、大事。
・ワインと牛乳が同じ値段で売っていたらどちらを選ぶか。お得なのは圧倒的にワインだけど、私にとって価値があるのは?
・あと社会規範と市場規範の話は大変反省しました。何を隠そう私こそプレゼントに現金をあげがちな人。だって現金だったらその人の1番好きなものを買ってもらえるかと思って…。ごめんねみんな。これからはちゃんと考えて物をあげよう。
・この章から導き出されるのは「高くないプレゼントをあげればあげるほど良い」ということでは? みんなプレゼントあげよう。
・あと「扉を開けておく」の章も見につまされる内容だった...。選択肢を迷っている間に失われていくものについて。私は優柔不断なのでめちゃくちゃわかる。。決断しないことによる影響を常にかんがえておくべき。
・著者はこの「予想どおりに不合理」な私たちの性質について、社会制度に役立ててほしいと繰り返し述べていた。政治家の人たち頑張ってほしい。(他力本願)


総じて面白かったです! ゴールデンウィークのよいお供であった。