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ちょっと長めの独り言

花に嵐のたとえもあるぞ(米澤穂信「本と鍵の季節」感想)

読みました。以下感想です。

米澤穂信作品というだけで期待値高まってしまうのですが、期待を裏切らない面白さ。
思春期の少年ふたりの物語。米澤穂信が書く思春期の少年少女が本当に大好きなんだよ…。そしてその少女少女の関係がいつもエモ。今回の少年たちも、ほろ苦くて良かった。

米澤穂信が描く少年少女の世界はいつだってきらきらしていて、ありふれているのにその時間が二度と戻らないものだってことを強く感じさせる。エモ。少年たちは日常の中の謎を解いていくけど、謎を解いた結果、みんなが笑顔になるハッピーな真実は用意されていない。真相を知った読者たちは少し傷つく。でも完璧な悪人もいなくて、「そういう事もあるよね」と思ってしまうような、下手をすれば自分たちだってなり得てしまうような犯人像。

期待を裏切らない米澤ワールドです。とりあえず、米澤穂信ファンなら読んで損はないと思います。