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ちょっと長めの独り言

冷静と情熱のあいだ(堂目卓生「アダム・スミス」感想)

アダム・スミス」読みました。アダム・スミス、めっちゃ性善説
アダム・スミスは「幸せな人を見ると自分も幸せな気持ちになれる」って言ってるけど、必ずしもそうではなくない? 他人の不幸を見てメシウマ〜!ってなったりしない???

スミスが語る社会、あまりに清く正しくて、スミスの世界に私のような人間はいないのではないかという気持ちになる。
あと、「幸福とは平穏と享楽であり、地位と財を求めると不幸になる」っていうの。経済学者そんなこと言うの??って思った。経済学って「どんどん利益を追求しよう!」みたいなイメージあるから。スミス、哲学者でもあるらしいのでそのせいですかね。

スミス曰く、平穏には「健康で、負債がなく、良心にやましい所がない」ことが必要であると言っている。めっちゃ同意。

スミスの言っている「幸せな人を見ると幸せになり、悲しい人を見ると悲しい気持ちになる(=同感)」の話は、脳科学の分野にも関連してくる(ミラーニューロン)。あと、「同感」や「心の中の公平な観察者」により、人類全体の秩序に繋がっていることについて、スミスは「自然の特別で愛情に満ちた配慮」であると言う。これ、遺伝子の話なのかな〜と思って読んでいた。
経済学、哲学の話が科学に繋がっていくのすごく面白い。

後半は「国富論」について。
貨幣経済によって、貨幣(金)=富だと勘違いする。本来は貨幣によって交換出来る必需品などが富である。

著者は、世間のアダム・スミスのイメージはちょっと違うのでは?と思っていたんじゃないかな。読後のアダム・スミスのイメージは「知的で、人間の善性を信じた、情熱を秘めた男」という感じ。