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ちょっと長めの独り言

夢を見るための旅

屋久島へ行ってきた。

 

私はもともと、一人で旅行することが嫌いじゃない。でも一人での旅行がすごく好きかって言われるとそうでもない。可能であれば、気心の知れたお友達と行きたい。

屋久島は一人で行ってきた。なぜなら、一緒に行ってくれるお友達がいなかったから。さみしい。

 

旅行には二つの種類がある。一緒に行く人が先に決まっている旅行と、行き先が先に決まっている旅行だ。屋久島旅行は後者だった。

屋久島に行きたいと思ったきっかけがなんだったのか、もう思い出せない。なんとなくぼんやりと、行ってみたいなあ、と思い続けていた。もののけ姫のモデルになったという点も魅力的だったし、恩田陸の小説「黒と茶の幻想」の舞台になっている点も印象的であった。「浮雲」は読んでいない。

 

一人旅は嫌いじゃないし、宿や飛行機の手配も嫌いじゃない。(ただ、毎回もっと早く予約すれば良かったと後悔する。)

今回は移動日が平日だったこともあり、だいぶお安く手配できて、満足した。

 

屋久島に着いてからは、もう「もののけ姫」と「黒と茶の幻想」の世界に浸っていた。

 

白谷雲水峡では、濃密な空気を吸いながら、「誰かに見られているような気分になった」利恵子の気持ちを思った。

山の中の歩道を進みながら、川で手当てした者を負ぶって山を登るアシタカの気持ちを考えた。たぶん大の男一人背負ってあの山道を登るのめっちゃしんどい。

木霊は探したけど、見つからなかった。

 

縄文杉に至るまでの道は、節子たちと一緒に(いる気分で)三顧の桜を探しながら歩いた。

帰り道に休憩した川辺は、サンとアシタカか出会った川辺だった。(ガイドさんからは白谷雲水峡の川がモデルになってるはずだと言われたけど、縄文杉の途中の川の方が近かったと思う。上流の岩の並び方や川幅、サン達がたたずんでいた河原のサイズからしても縄文杉の途中の川の方がry)

 

屋久島旅行はとっても楽しかった。それはきっと私が「もののけ姫」と「黒と茶の幻想」を読んでいたからだ。

こういう旅行は邪道なのかもしれないけど、間違いなく通常の旅行よりアドレナリンが出るし、土地に対する思い入れも深くなるし、ある種の洞察力も増す。気がする。そして右脳が活発に働いている気がする。

旅行って言うのは、私にとっては起きながら夢を見させてくれる体験だ。一つの異次元の体験だ。

また旅行に行きたい。次はどこへ行こうか。