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ちょっと長めの独り言

冬が来る前に(林 景一「アイルランドを知れば日本がわかる」感想)

読みました。面白かったです。以下感想。

アイルランド小ネタ集っぽい感じでとても取っつきやすい。
ケルトビリー・ザ・キッドが出てきて「FGOだな…」と思った。
アメリカとの関係が密接なのは正直全く知らなかった。勉強になる。
・移民としてアメリカに渡り、社会的階層が低く兵士とかボクシングとか体ひとつでやっていく分野で力を伸ばしていくアイルランド人。その文脈でのビリー・ザ・キッド
・イギリスへの感情が巨大すぎる。アイルランドから見ればクロムウェルは悪魔。
・私はアイルランドに関してほぼほぼイメージがなく、この本はとても面白く読めた。「アイルランドってなんぞや?」レベルのひとが読んでも全然楽しめると思う。おすすめ。

さよならする夢(十市社「ゴースト≠ノイズ」感想)

読み終わりました。以下大変なネタバレなので注意です。









私の中で期待値コントロール失敗した作品。
はてなブログの書籍レビュー記事で絶賛されてて、めっちゃワクワクして読んだんですけど、面白くないわけではないと思うんですけど、期待したほどではなかったというのが正直な感想です。。。
特に、レビューから叙述トリックっぽい感じかな〜というのが想定できてしまって、結果最後のどんでん返しも想定内になってしまったんですよね。
あと親がクズすぎて…。こんな親世の中にはいない!とか言うつもりは全然ないんですけど、この親2人と丸山に関してはストーリーの都合上悪者役を押し付けられてしまった感が拭えなくてちょっと可哀想かなと思う。

結論、ミステリーはレビュー読まない方がいい。

戦うものの歌が聞こえるか(パオロ・マッツァリーノ「つっこみ力」感想)

「つっこみ力」読みました。

えっ…面白くない…。
タイトルが「つっこみ力」なのに全然面白くない…。。。
というか読み手は馬鹿だと思われてない? とりあえず政治家と大学教授をディスっておけば喜ぶと思われてない????
多分講演を書き起こしたものだと思うんですけど、文字で読むと本当に合わなかった。「住宅ローンの制度を変えれば自殺が減る」って話しか覚えてない。(でも石造りのヨーロッパの住宅と違い、日本の木造住宅を資産と見るのはまあ難しいのでは?って思ってしまう。)

多分会場で直接講演を聞けばまた違った感想だろうなと思う。本の感想としては「う~ん」。

けぶる庭(横浜美術館モネ展感想)

横浜美術館モネ展行ってきましたので感想。

・モネの作品よかった〜! モネの目に映った空気を描くから、色彩と光を残して輪郭を失った景色。
・モネは寂しくて暖かいイメージ。「税官吏の小屋、荒れた海」は荒れた海のはずなのに海がすごくきらきら輝いていて、希望の光に見えた。「セーヌ川の日没、冬」も雪解けの冷たいセーヌ川なんだけど、色調のせいか柔らかい印象。
・1番好きだったのは「霧の中の太陽」。私はこれが圧倒的に好きだった〜。モネの試行錯誤の末の霧の風景。
・「バラの小道の家」は私が近眼なので「わかる〜メガネ外すとこんな世界見える〜」と思ってしまった。輪郭が抜け落ちた色の洪水。
・モネの睡蓮シリーズも好きなんですけど、私はやっぱりあのスモーキーピンクの作品が好き。桃色と薄紫色の煙に包まれたような景色。
・企画展で好きなのは、現代の作品も見れること。正直現代美術あんまりわかんないのでとても楽しい。普通に眺めると理解できない作品でも、「モネ」というとっかかりがあることで親しみやすくなっている。
・今回の推し作家さんは根岸芳郎さん。柔らかく美しく包む色。優しい。ここに住みたい。
この作品、普段なら素通りするタイプの絵なんですけど、展示会で マーク・ロスコのコーナーのあと、 モーリス・ルイスの絵の横に置いてあったので、趣旨が理解出来て足を止めて…そして好きになった…

横浜美術館、ヌード展に続いて2回目の訪問だったんですけど、すっかり好きになってしまった。また行きます。

願わくは、花の下にて(映画「君の膵臓をたべたい」感想)

見ました。映画「君の膵臓をたべたい」。昨日の地上波を録画で見ました。

めっっっちゃよかった…。邦画はあんまり見なくて、「あ〜昨日テレビでやってたんだ〜」くらいのめちゃめちゃ軽い気持ちで見始めたんだけどすごくよかった…。
以下とてもネタバレ。

・映画の雰囲気がよい。古い図書館のシーン好き。
小栗旬がイケメン。
・少年時代の主人公くんがめちゃめちゃ演技が上手い。東南アジア系イケメン。イケメンなのに教室の隅の影薄いキャラにちゃんと見える。演技が上手い。
・さくらちゃん、初見は「うわっ…ぶりっ子ハイテンション系の苦手なタイプの女子だ…」と思ってしまったんですけど、安心してほしい。30分後にはさくらちゃんのことみんな大好きになる。間違いない。病室で「真実と挑戦」ゲームしてる時、さくらちゃんのこと抱きしめたい気持ちに駆られた。さくらちゃんのことをだんだん好きになるせいか、さくらちゃん映画の後半にかけて徐々にかわいくなっていくように見える。これが恋ですか?
あと時折見られる今どきの女子校生っぽい言動がかわいい。「真面目か〜!」のツッコミがちょっとギャルっぽくてときめいた。
・主人公くんの私服、すごく教室の隅の影薄いキャラっぽくて感動した。そのモスグリーンのチェック柄のシャツ…似合ってるよ…。
・さくらちゃんの私服も精一杯可愛く、でもちょっと垢抜けない感じが100点。
・親友ちゃん、何回も「男を見る目がない」と言われてるので、この後主人公くん×親友ちゃん展開がくるのかと思った。新郎は実はクソ男で、ラストで主人公くんが親友ちゃんを攫いにくるフラグだと…ばかり…。
・だから上地雄輔は上っ面のいいクズ野郎だとばかり思っていた。
・途中からは上地雄輔は通り魔事件の犯人だと思って見ていた。
・親友ちゃんーー!逃げてーーー!主人公早く助けにきてーーーー!
・えっガム男ーーーーーー!!?(悲鳴) おまっ…お前ーーーー!!!顔!!!顔がーーーーー!!!!??


ちょっとミステリー小説読みすぎかなと思いました。でもサスペンスドラマなら絶対新郎が殺人犯じゃん?

とにかく面白かった!邦画もたまにはいいね。

ワキワキメキメキ(ヤマザキマリ「男性論」感想。)

読みました、ヤマザキマリ「男性論」。

本の中で何度も「ワキワキ・メキメキ」という単語(発展を続ける状態を表した効果音的なもの)が出てくるんですけど、これめっちゃわかる! 私もメキメキ・ワキワキしながら生きていきたい!

ヤマザキマリプレゼンツ、いい男集。
筆者とあんまり男の人の趣味は被らないな〜と思った。ハドリアヌスよりトラヤヌス派です。でも安部公房は私も好き…。

後半は女性論。結構、日本人女性と日本人男性の女性の趣味に批判的。でも「理想のイタリア人女性」は猛禽類的強さ、マンマ的包容力を備えた母性、可愛らしさの三位一体が必要らしく、それって日本人男性が求める理想の女性とそう変わらなくない??って思ってしまった。
あと中年のオッサンが若いアイドルに熱を上げてるのが批判されてたんだけど、でも私も若いアイドル好きだからわかる。彼女たちは輝いてるんだよ。キラキラしてて、死ぬほど頑張ってて、世界の宝物で、私たちの生きる希望なんだよ。彼女たちを応援することぐらい許してくれ。
ただ、女性に「若さ(幼さ)」を求める嗜好はわりと日本人あるあるな気がする。外見の話ね。でもそれって本能レベルの話なので、変えていくのはなかなか難しいだろうな〜などと思いました。

あと最後にオマケのように掲載されてる「テルマエ・ロマエ映画化報酬100万円問題」が面白いので、ぜひ最後まで読んでほしい。

冷静と情熱のあいだ(堂目卓生「アダム・スミス」感想)

アダム・スミス」読みました。アダム・スミス、めっちゃ性善説
アダム・スミスは「幸せな人を見ると自分も幸せな気持ちになれる」って言ってるけど、必ずしもそうではなくない? 他人の不幸を見てメシウマ〜!ってなったりしない???

スミスが語る社会、あまりに清く正しくて、スミスの世界に私のような人間はいないのではないかという気持ちになる。
あと、「幸福とは平穏と享楽であり、地位と財を求めると不幸になる」っていうの。経済学者そんなこと言うの??って思った。経済学って「どんどん利益を追求しよう!」みたいなイメージあるから。スミス、哲学者でもあるらしいのでそのせいですかね。

スミス曰く、平穏には「健康で、負債がなく、良心にやましい所がない」ことが必要であると言っている。めっちゃ同意。

スミスの言っている「幸せな人を見ると幸せになり、悲しい人を見ると悲しい気持ちになる(=同感)」の話は、脳科学の分野にも関連してくる(ミラーニューロン)。あと、「同感」や「心の中の公平な観察者」により、人類全体の秩序に繋がっていることについて、スミスは「自然の特別で愛情に満ちた配慮」であると言う。これ、遺伝子の話なのかな〜と思って読んでいた。
経済学、哲学の話が科学に繋がっていくのすごく面白い。

後半は「国富論」について。
貨幣経済によって、貨幣(金)=富だと勘違いする。本来は貨幣によって交換出来る必需品などが富である。

著者は、世間のアダム・スミスのイメージはちょっと違うのでは?と思っていたんじゃないかな。読後のアダム・スミスのイメージは「知的で、人間の善性を信じた、情熱を秘めた男」という感じ。