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ちょっと長めの独り言

願わくは、花の下にて(映画「君の膵臓をたべたい」感想)

見ました。映画「君の膵臓をたべたい」。昨日の地上波を録画で見ました。

めっっっちゃよかった…。邦画はあんまり見なくて、「あ〜昨日テレビでやってたんだ〜」くらいのめちゃめちゃ軽い気持ちで見始めたんだけどすごくよかった…。
以下とてもネタバレ。

・映画の雰囲気がよい。古い図書館のシーン好き。
小栗旬がイケメン。
・少年時代の主人公くんがめちゃめちゃ演技が上手い。東南アジア系イケメン。イケメンなのに教室の隅の影薄いキャラにちゃんと見える。演技が上手い。
・さくらちゃん、初見は「うわっ…ぶりっ子ハイテンション系の苦手なタイプの女子だ…」と思ってしまったんですけど、安心してほしい。30分後にはさくらちゃんのことみんな大好きになる。間違いない。病室で「真実と挑戦」ゲームしてる時、さくらちゃんのこと抱きしめたい気持ちに駆られた。さくらちゃんのことをだんだん好きになるせいか、さくらちゃん映画の後半にかけて徐々にかわいくなっていくように見える。これが恋ですか?
あと時折見られる今どきの女子校生っぽい言動がかわいい。「真面目か〜!」のツッコミがちょっとギャルっぽくてときめいた。
・主人公くんの私服、すごく教室の隅の影薄いキャラっぽくて感動した。そのモスグリーンのチェック柄のシャツ…似合ってるよ…。
・さくらちゃんの私服も精一杯可愛く、でもちょっと垢抜けない感じが100点。
・親友ちゃん、何回も「男を見る目がない」と言われてるので、この後主人公くん×親友ちゃん展開がくるのかと思った。新郎は実はクソ男で、ラストで主人公くんが親友ちゃんを攫いにくるフラグだと…ばかり…。
・だから上地雄輔は上っ面のいいクズ野郎だとばかり思っていた。
・途中からは上地雄輔は通り魔事件の犯人だと思って見ていた。
・親友ちゃんーー!逃げてーーー!主人公早く助けにきてーーーー!
・えっガム男ーーーーーー!!?(悲鳴) おまっ…お前ーーーー!!!顔!!!顔がーーーーー!!!!??


ちょっとミステリー小説読みすぎかなと思いました。でもサスペンスドラマなら絶対新郎が殺人犯じゃん?

とにかく面白かった!邦画もたまにはいいね。

ワキワキメキメキ(ヤマザキマリ「男性論」感想。)

読みました、ヤマザキマリ「男性論」。

本の中で何度も「ワキワキ・メキメキ」という単語(発展を続ける状態を表した効果音的なもの)が出てくるんですけど、これめっちゃわかる! 私もメキメキ・ワキワキしながら生きていきたい!

ヤマザキマリプレゼンツ、いい男集。
筆者とあんまり男の人の趣味は被らないな〜と思った。ハドリアヌスよりトラヤヌス派です。でも安部公房は私も好き…。

後半は女性論。結構、日本人女性と日本人男性の女性の趣味に批判的。でも「理想のイタリア人女性」は猛禽類的強さ、マンマ的包容力を備えた母性、可愛らしさの三位一体が必要らしく、それって日本人男性が求める理想の女性とそう変わらなくない??って思ってしまった。
あと中年のオッサンが若いアイドルに熱を上げてるのが批判されてたんだけど、でも私も若いアイドル好きだからわかる。彼女たちは輝いてるんだよ。キラキラしてて、死ぬほど頑張ってて、世界の宝物で、私たちの生きる希望なんだよ。彼女たちを応援することぐらい許してくれ。
ただ、女性に「若さ(幼さ)」を求める嗜好はわりと日本人あるあるな気がする。外見の話ね。でもそれって本能レベルの話なので、変えていくのはなかなか難しいだろうな〜などと思いました。

あと最後にオマケのように掲載されてる「テルマエ・ロマエ映画化報酬100万円問題」が面白いので、ぜひ最後まで読んでほしい。

冷静と情熱のあいだ(堂目卓生「アダム・スミス」感想)

アダム・スミス」読みました。アダム・スミス、めっちゃ性善説
アダム・スミスは「幸せな人を見ると自分も幸せな気持ちになれる」って言ってるけど、必ずしもそうではなくない? 他人の不幸を見てメシウマ〜!ってなったりしない???

スミスが語る社会、あまりに清く正しくて、スミスの世界に私のような人間はいないのではないかという気持ちになる。
あと、「幸福とは平穏と享楽であり、地位と財を求めると不幸になる」っていうの。経済学者そんなこと言うの??って思った。経済学って「どんどん利益を追求しよう!」みたいなイメージあるから。スミス、哲学者でもあるらしいのでそのせいですかね。

スミス曰く、平穏には「健康で、負債がなく、良心にやましい所がない」ことが必要であると言っている。めっちゃ同意。

スミスの言っている「幸せな人を見ると幸せになり、悲しい人を見ると悲しい気持ちになる(=同感)」の話は、脳科学の分野にも関連してくる(ミラーニューロン)。あと、「同感」や「心の中の公平な観察者」により、人類全体の秩序に繋がっていることについて、スミスは「自然の特別で愛情に満ちた配慮」であると言う。これ、遺伝子の話なのかな〜と思って読んでいた。
経済学、哲学の話が科学に繋がっていくのすごく面白い。

後半は「国富論」について。
貨幣経済によって、貨幣(金)=富だと勘違いする。本来は貨幣によって交換出来る必需品などが富である。

著者は、世間のアダム・スミスのイメージはちょっと違うのでは?と思っていたんじゃないかな。読後のアダム・スミスのイメージは「知的で、人間の善性を信じた、情熱を秘めた男」という感じ。

ひとりの夜(小野不由美「残穢」感想)

残穢、読みました。面白いと聞きつつ、ホラー苦手なので渋ってたやつ。ちなみに「家においてあるとなんか怖い」という前情報を得ていたので、図書館で3時間ほどで読了。

これは…!あれですね!パンデミックものですね!?前半めちゃめちゃ怖かったんですけど(特に主人公の家に若い男の声で電話がかかってくるあたり)、後半はこう、サスペンス感があった。ドキドキハラハラ系。

で、「読み終わった~思ってたほど怖くなかったな~」って本を閉じて、家に帰って一人でテレビ見てるときに背後での物音がして、突然恐怖が襲ってくる系の本ですよねこれ!?!?!?
なるほど、図書館で読んで正解かも…。家に本があると余計怖い。

なんだか小学校のころ流行った「○○という単語を20歳まで覚えてると死ぬ」という階段を思い出した。その話を聞いた時点で怪異から逃れられなくなってしまう。
後から来る系ホラー。引きずる系ホラー。
いや~夏にぴったりの本でした!怖い!

否認(ダン・ブラウン「インフェルノ」感想)

ダン・ブラウンインフェルノ」読みました。
ダン・ブラウンは本当にすごい。どうしてこんなに大人の中二心を揺さぶるエッセンスを散りばめつつドキドキハラハラのサスペンスを書けるのか。
ダンテ「神曲」っていうテーマもめっちゃいいよね!中二心めっちゃくすぐられるよね!!
あとね〜ダンテ×フィレンツェ×人口問題×ペストっていう組み合わせがすごく好き。今までの作品もそうだけど、芸術世界に浸るだけじゃなく社会問題を取り上げるのがよい。すごく良い。

あと、医師シエナとの会話で出てきた「否認」が印章的でかつタイムリーだった。今後人口が増え続け、何らかの形で人口減が必要になるという話をシエナがしたところ、ラングドンは話をそらした。自分の生命に危機が及ぶような話は認識しなくなる。それを「否認」とよぶのだとシエナは言っていた。
災害の度に言及される「正常性バイアス」もシエナの言う「否認」であるのかなと思った。
だとすれば、私たちが問題を認識するのはすごく難しいよね。でもそういった「否認」あるいは「正常性バイアス」という作用があると知っているだけで、その時の対応が変わってくるかもしれない。





あとこの前車庫で車をぶつけたんですけど、「ちょっと傷がついただけやろ〜」と思って目的地にそのまま向かい、改めて確認したところ車の扉が思いっきり凹んでた。あれも「否認」だったのかも…しれない…。

全ては僕の思うまま(池谷裕二「怖いくらい通じるカタカナ英語の法則」感想)

この世界に物体が実在するかは明らかではない。私たちには、「物体に触れた」という感覚があるだけだ。私たちが感知出来ないものがあれば、脳は「そこに有る」ということを認識出来ない。

カタカナ英語で、こんな論説に触れるとは思わなかった。この話から導かれるのが、「日本人は英語の母音を正確に認識することができない(=カタカナに置き換えて聞こえる)」ということらしい。

この本を書いたのは脳科学者の人。視点が違うと英語の勉強も新しい発見があって面白い〜!

きらい、きらいも(溝口敦「細木数子―魔女の履歴書」感想)

細木数子―魔女の履歴書」を読み終えて、めちゃめちゃ驚いたのが、筆者はこの仕事が始まるまで細木数子に無関心出会ったということ。なんだか信じられない!
読んでて「いやこれ筆者の偏見入ってない?」「筆者、細木数子大嫌いやん…いやむしろ大好きなのか…?」という感想を持ったのでとても意外。筆者は細木数子に対して愛憎入り交じった感情を抱いているのかと思った…。
本の内容を一言でまとめると「細木数子は女ヤクザである」って感じですかね。
読んでて楽しい話ではなかったけど勉強になった。